この記事の結論

B型の生産活動売上を増やすには、案件ごとに必要経費控除後の工賃原資、継続性、利用者が参加できる工程を確認し、受注単価・販路・生産量を見直します。給付費や事業所全体の利益と生産活動売上を分けて管理することが出発点です。

この記事の目次
  1. まず、伸ばしたい「売上」を定義する
  2. 売上増の前に案件別の採算と工程を見える化する
  3. 売上を伸ばす四つの打ち手
  4. 1. 既存顧客の小さな追加発注をつくる
  5. 2. 受注先と商品を一つの販路に依存させない
  6. 3. 作業単価と見積もりを工程単位で見直す
  7. 4. 利用者が参加できる工程を増やし、品質を安定させる
  8. 月次レビューで「続ける・直す・止める」を決める
  9. よくある質問
  10. 給付費を生産活動の売上として計上してよいですか?
  11. 売上を増やせば工賃も必ず増えますか?
  12. 高単価の仕事なら優先して受けるべきですか?
  13. A型と同じ考え方で工賃を扱えますか?
  14. まとめ
  15. 参考資料

就労継続支援B型の生産活動売上を増やすには、売上額だけを追わず、案件ごとに「必要経費を差し引いた工賃原資」「継続性」「利用者の希望・特性に合う工程」を確認しながら、受注単価・販路・生産量を見直すことが大切です。B型の工賃は生産活動収入から必要経費を控除した額を原資として支払うもので、障害福祉サービスの給付費や事業所全体の利益とは別に管理します。1 2

まず、伸ばしたい「売上」を定義する

経営会議で「売上が足りない」と話す前に、何を伸ばすのかを分けてください。生産活動の売上、必要経費控除後の生産活動収支、利用者へ支払う工賃、障害福祉サービス等の給付費、法人全体の利益は同じ数字ではありません。特に生産活動の売上をそのまま事業所の利益とみなすと、工賃原資や経費を見誤ります。

厚生労働省の会計ガイドラインは、B型について、生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うことを示しています。また、給付費から賃金・工賃を支払うことは、災害等の場合を除き指定基準違反と厚労省が案内しています。1 2 実際の経理区分、控除できる経費や記録の扱いは法人の会計形態・契約・自治体の指導内容にもよるため、会計担当者と指定権者に確認してください。

売上増の前に案件別の採算と工程を見える化する

まず直近数か月分の生産活動を案件・商品ごとに分け、次の項目を一枚に記録します。

  • 受注先・商品・サービスと契約期間
  • 受注数量、売上額、検収・入金の条件
  • 材料費、送料、販売手数料などの直接経費
  • 職員の指導・検品・調整に使った時間
  • 利用者が担った工程、作業時間、やり直し・不良の状況
  • 次回受注の見込み、繁閑、必要な設備やスキル

記入例:商品Xは売上額が比較的大きくても、材料費と個別対応の手間、廃棄が多く、工賃原資が小さいかもしれません。商品Yは一回の売上額が小さくても、工程を標準化できて毎月受注できるなら、安定した作業機会につながる可能性があります。これは考え方を示す架空の記入例であり、実績や単価の提示ではありません。

比較では、売上額だけでなく「直接経費を控除した額」「職員の調整負担」「利用者が参加できる工程」「再受注の見込み」を並べます。生産活動の収支を月単位で確認する場合も、給付費や法人全体の収支と混在させないでください。2

売上を伸ばす四つの打ち手

1. 既存顧客の小さな追加発注をつくる

新規営業の前に、現在の取引先へ「今の納品品質を保ったまま追加できる作業はあるか」「繁忙期だけ発生する補助作業はあるか」「納品単位や頻度を調整できるか」を聞きます。作業を増やす場合は、数量・仕様・納期・検品基準・再作業の負担を先に合意します。対応できる量を超えて受けると、職員の確認や納期対応が増え、継続受注を損なうことがあります。

2. 受注先と商品を一つの販路に依存させない

受託作業なら、既存の取引先に加えて地域企業、自治体等の優先調達、共同受注窓口、地域の支援機関などを候補として調べます。国・地方公共団体等には障害者就労施設等から物品・役務を調達する仕組みがありますが、調達が保証されるわけではなく、対象・手続・案件の有無は各自治体等で確認が必要です。1

自主製品を扱う場合は、製造量を増やす前に、購入者像、販売場所、価格、在庫・返品・送料、季節性を小さく試します。作れば売れるとは限りません。試験販売や予約・注文の反応を記録し、売れ残りや追加コストを含めて継続可否を判断します。

3. 作業単価と見積もりを工程単位で見直す

一式価格の案件でも、見積もりの内部計算は工程ごとに分けます。準備、制作、検品、修正、梱包・納品に必要な時間や材料を把握し、追加修正の範囲や納期変更の条件も相手と決めておきます。見積額を上げるだけでなく、仕様の整理、まとめ納品、資材の共通化、手戻り削減によって、同じ作業時間で提供できる価値を高められる場合があります。

単価を変えるときは、既存契約の条件を確認し、根拠と変更時期を取引先に説明します。案件別の採算確認と単価設計を詳しく検討したい場合は、生産活動の単価設定と見積もりの考え方も参照してください。

4. 利用者が参加できる工程を増やし、品質を安定させる

工程を「準備」「制作・加工」「確認」「梱包・納品」などに分け、必要な手順、判断、集中時間、道具、支援者の確認頻度を整理します。利用者本人の希望や得意不得意、体調の変動を踏まえて工程を選び、見本・チェック表・作業量の調整を試します。職員が全工程を抱え込んでいるなら、作業の分解や指示の標準化によって参加しやすくなる工程がないか確認します。

新しい分野へ進む場合は、いきなり専用設備を購入したり大口案件を受けたりせず、少量の試行で品質・作業時間・支援負担・利用者の反応を記録します。動画制作などのデジタル業務は、教育と品質確認の体制、権利・個人情報への配慮、継続受注の見込みをあわせて検討します。導入手順の具体例は就労継続支援B型事業所で動画編集を導入する方法にまとめています。

月次レビューで「続ける・直す・止める」を決める

毎月、案件ごとに売上、必要経費、工賃原資、職員の支援・検品時間、納期・品質、利用者の参加状況、次月の受注見込みを確認します。たとえば、売上は増えたのにやり直しが増えている案件は、仕様や検品工程を先に修正します。売上は小さくても安定した受注があり、利用者が無理なく関われる仕事は、工程改善で続けられるかを検討します。売上・利益・工賃を単一の「成果」にまとめないことが重要です。

判断 確認すること 次の対応例
続ける 工賃原資、品質、負担、再受注が見合うか 継続契約や納品頻度を相談
直す 手戻り、待ち時間、材料ロスの原因 仕様・手順・見積もりを改訂
試す 利用者の希望に合うか、需要があるか 少量・短期間で試行し記録
止める・縮小する 赤字が続く、支援負担や品質リスクが大きいか 契約条件を確認して段階的に整理

この表は実務上の提案であり、法定様式や指定権者の判断基準ではありません。指定基準に関わる会計・工賃の判断は、契約書、会計資料、自治体の最新通知を照らして個別に確認します。1 2

売上が伸びない原因が受注不足なのか、単価・原価・作業工程・納期の問題なのかを切り分けたい場合は、生産活動売上が伸びない原因を整理するも参考になります。また、受注先の開拓方法は就労支援事業所が仕事を受注する方法で確認できます。

よくある質問

給付費を生産活動の売上として計上してよいですか?

生産活動の売上と障害福祉サービス等の給付費は性質が異なります。厚労省は生産活動に係る会計とその他の活動の会計を区分する必要があると案内しています。1 勘定科目や区分経理の具体的な処理は、会計基準と法人の状況に応じて確認してください。

売上を増やせば工賃も必ず増えますか?

必ずではありません。生産活動収入から必要経費を控除した額が工賃原資の考え方となるため、材料費、外注費、送料、販売手数料などが増えれば、売上増がそのまま工賃増になるとは限りません。2 受注前後に案件別の費用と作業負担を確認しましょう。

高単価の仕事なら優先して受けるべきですか?

単価だけでは判断できません。品質条件、納期、職員の指導負担、必要設備、継続性、利用者が参加できる工程を確認してください。対応力に合わない仕事は、納期遅延や再作業につながる可能性があります。

A型と同じ考え方で工賃を扱えますか?

同じではありません。A型は雇用契約に基づいて働くサービスで、支払うものは賃金です。B型は雇用契約に基づく就労が困難な人に就労・生産活動の機会を提供し、支払うものは工賃です。1 本記事の会計・工賃の説明をA型の賃金管理にそのまま当てはめないでください。

まとめ

B型の生産活動売上を増やす第一歩は、売上額だけでなく、案件ごとの必要経費・工賃原資・職員の支援負担・利用者の参加しやすさ・継続受注の見込みを並べて確かめることです。既存受注の拡大、販路分散、工程別の見積もり、作業の標準化を小さく試し、月次で続ける・直す・止めるを判断します。

シゴトプラスでは、職員研修から案件制作、自社YouTube・SNS等への展開まで、動画制作の導入・運営を法人向けに支援しています。全工程の代行や受注・収益を保証するものではありません。導入支援の内容はシゴトプラスをご覧ください。

個別の会計・指定基準の適用や報酬算定については、本記事だけで判断せず、最新の厚生労働省資料と指定権者、税理士等へ確認してください。

参考資料

  1. 厚生労働省「福祉・介護障害者の就労支援対策の状況」—B型・A型のサービス概要、生産活動会計の区分、給付費から工賃等を支払うことに関する案内、優先調達制度。1
  2. 厚生労働省「就労支援事業会計の運用ガイドライン」—生産活動会計の基本、指定基準第201条におけるB型の工賃と収入・必要経費の関係。2
  3. 検索競合の定性観測:LITALICO仕事ナビ「Q. 就労継続支援B型が“もう一段”売上を伸ばす方法とは?」、マネーフォワード クラウド「就労継続支援B型は儲かる?収益モデルや利益を出すコツ」。検索結果で確認した他社ページであり、制度の一次根拠としては扱っていません。

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