この記事の結論

動画編集の単価は動画の長さだけでなく作業範囲で比較し、事業所では総作業時間と直接経費を記録して試算します。A型の賃金とB型の工賃を区別し、売上・必要経費控除後の額・利益を混同しないことが重要です。

この記事の目次
  1. 動画編集の外注単価は作業範囲で比べる
  2. 事業所の売価は実作業時間から逆算する
  3. 記入例:短尺動画を月6本制作する試算
  4. A型・B型では売上の見方と支払いを分ける
  5. 受注前に使う簡易チェック
  6. YouTube収益を受注売上の代わりに置かない
  7. よくある質問
  8. 相場より安く受ければ、動画編集案件を獲得しやすくなりますか?
  9. 1本あたりの売上を、そのまま工賃にできますか?
  10. YouTubeの再生収益を、動画制作の収益モデルに含めてもよいですか?
  11. まとめ
  12. 参考資料

動画編集の外注単価は、動画の長さだけでなく、素材の状態、字幕・構成の有無、修正対応、納品形式で変わります。相場記事の金額をそのまま事業所の売価にせず、受注仕様をそろえたうえで「実作業時間あたりの売上」と「生産活動に必要な経費控除後の額」を試算するのが実務的です。A型では雇用契約上の賃金、B型では工賃として会計・支払いを分けて確認します。

動画編集の外注単価は作業範囲で比べる

2026年10月26日に確認した民間の相場解説では、ショート動画の編集のみは個人への依頼でおおむね1,000〜10,000円程度、制作会社では1万円以上とする例が見られます。一方、企画・撮影・編集・運用まで含めた価格は別の水準です。各ページの提示額は掲載者が示す目安で、全国の取引を集計した統計や、就労支援事業所が受注できる価格ではありません。1 2 3

相場比較の前に、見積条件を次のように分解します。

見積項目 先に決める条件 単価が変わる理由
素材・尺 素材の長さ、点数、縦横比、完成尺 素材の確認・選定や変換の時間が変わる
編集 カット、字幕、BGM、効果音、色調整、図版 作業内容と確認難度が異なる
企画・原稿 台本、構成、見出し、サムネイル 編集以外の制作工程が加わる
修正・検品 修正回数、修正指示のまとめ方、最終確認 追加の往復や品質確認が発生する
納品・権利 解像度・形式、プロジェクトデータ、素材利用条件 書き出しや権利確認、二次利用範囲が変わる

「1分だから安い」とは限りません。30秒でも字幕の全起こしや細かな演出、複数回の修正があれば工数は増えます。反対に、完成尺が長めでも、素材・構成・字幕原稿が整理され、作業が定型化されていれば時間を読みやすくなります。1 2

事業所の売価は実作業時間から逆算する

外部の価格例は、見積もりの入口として使い、最終価格は自事業所の工程と実績記録で決めます。1本あたりの「編集者の作業時間」だけではなく、職員の指示・素材整理・利用者への支援・検品・修正連絡も記録します。利用者が直接編集していない時間を無視すると、案件を増やすほど職員負担が膨らみ、採算を過大評価します。

記入例:短尺動画を月6本制作する試算

以下は計算方法を示す架空の試算で、相場や受注実績、達成予測ではありません。素材・字幕原稿を顧客が用意し、編集・初回検品・軽微な修正を含めて1本8,000円で受ける想定を置きます。

  • 月間売上:8,000円 × 6本 = 48,000円
  • 生産活動に直接かかる経費:月6,000円と仮置き
  • 経費控除後の額:48,000円 − 6,000円 = 42,000円
  • 月間の総作業時間:編集・職員指示・検品・連絡を合計18時間と仮置き
  • 経費控除後の時間あたり額:42,000円 ÷ 18時間 = 約2,333円

この約2,333円は事業所の利益や利用者一人あたりの工賃・賃金ではありません。上記は生産活動に直接かかる経費だけを置いた単純試算であり、職員人件費などの扱いを含む事業所全体の費用構造や会計区分を反映した利益計算ではありません。生産活動収入から必要経費を控除した額と、実際に支払う賃金・工賃は別に確認します。作業時間・経費・本数の数字はすべて例示です。

見積もりを実績に置き換える際は、案件ごとに「受注額、納品本数、利用者の作業時間、職員の支援・検品時間、直接経費、修正回数、差し戻し理由」を残し、月次で見直します。時間がかかる工程が字幕入力なら、字幕原稿を顧客に用意してもらう。修正が多いなら、修正指示を一本化し、契約時に修正範囲を明記する。価格を上げる前に、工程のどこが工数を生んでいるかを特定できます。

生産活動の価格表や見積書を作るときの考え方は、生産活動の単価設定と見積もりの考え方も参照してください。動画編集を導入する工程全体は B型事業所で動画編集を導入する方法で整理しています。

A型・B型では売上の見方と支払いを分ける

A型の利用者とは原則として雇用契約を結び、賃金を支払います。指定基準第192条第2項は、生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額が、利用者に支払う賃金総額以上となるよう定めています。4 B型では、指定基準第201条により、生産活動収入から必要経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払います。4 A型で雇用契約を締結しない利用者がいる場合の工賃規定など、細部は現行条文と自治体の運用を確認してください。

したがって、動画案件の売上額をそのまま工賃原資や利益と呼ぶことはできません。少なくとも案件別に売上と生産活動に直接必要な経費を記録し、各事業所の会計処理に沿って支払い原資を確認します。障害福祉サービスの給付費と生産活動売上を混ぜて不足分を補ってよい、といった判断をこの記事だけで行うこともできません。指定権者や会計専門家に、個別の費目・会計区分を確認してください。4 5

受注前に使う簡易チェック

  1. 依頼範囲を固定する:素材の長さ・点数、完成尺、字幕原稿、BGM、納品形式を明記する。
  2. 検品の責任者を決める:誤字、音量、映像の欠け、権利確認の担当を分ける。
  3. 修正条件を合意する:軽微な修正の範囲、回数、追加作業の扱いを文面にする。
  4. 1本だけ試作する:利用者の作業と職員の確認時間を測り、継続可能な本数を判断する。
  5. 案件ごとの収支を残す:売上、直接経費、工賃・賃金の確認に必要な資料を区分して記録する。

作業工程の分担を検討するときは動画編集を利用者と分担する方法、機材費も含む導入費用は動画編集に必要なパソコンと編集ソフトの選び方を確認してください。権利や契約条件の個別確認を省略せず、案件ごとに作業範囲・納期・素材利用条件を書面に残します。

YouTube収益を受注売上の代わりに置かない

自社チャンネルは、制作物の発信・職員研修・利用者の成果紹介などに活用できますが、投稿すれば広告収益が発生するとは限りません。YouTube公式ヘルプ(2026年10月26日確認)では、広告収益分配の標準的な参加基準として、登録者1,000人以上に加えて、直近12か月の対象公開動画の総再生時間4,000時間以上、または直近90日間の有効な公開ショート視聴回数1,000万回以上などが示されています。条件達成後もチャンネル審査があり、自動的に収益化されるわけではありません。6

そのため、月次計画では受注による売上と、YouTube等の収益を別欄に置き、未達でも運営が成立する前提で検討します。投稿本数や再生数を約束する収益計画にはしないでください。収益化条件は変更されることがあるため、実際に計画へ反映する時点で公式ヘルプを再確認します。6

動画制作の導入・運営を職員研修から検討したい場合は、シゴトプラスの導入・運営支援で支援範囲をご覧ください。サービスは法人向けの有料支援であり、全代行、案件獲得、売上・工賃向上、YouTube収益を保証するものではありません。

よくある質問

相場より安く受ければ、動画編集案件を獲得しやすくなりますか?

価格だけで受注可能性を判断できません。作業範囲、修正条件、納期、成果物の品質、継続対応できる体制を合わせて提案します。相場ページの価格も掲載者の目安で、事業所向け案件の受注価格を保証するものではありません。1 2 3

1本あたりの売上を、そのまま工賃にできますか?

できません。B型では生産活動の収入から必要経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払う基準があります。A型では雇用契約上の賃金と生産活動収支の関係を確認します。費目の判断や帳簿への反映は、指定権者等へ確認してください。4

YouTubeの再生収益を、動画制作の収益モデルに含めてもよいですか?

目標値として別枠で試算することはできますが、確定売上として扱わないでください。収益化には公式要件と審査があり、広告単価や再生数による収入は保証されません。6

まとめ

動画編集の単価は、完成尺で一律に決めるのではなく、素材・字幕・企画・修正・検品・権利の範囲をそろえて比較します。事業所では案件ごとの総作業時間と直接経費を記録し、経費控除後の額とA型の賃金・B型の工賃を混同せずに試算してください。小さな試作で実際の工数を確認し、無理のない本数・価格・支援体制へ調整することが、継続できる収益モデルづくりの出発点です。

参考資料

  1. VideoWorks「ショート動画制作を外注したときの費用相場」— フリーランス・企業別の単価例と作業範囲。
  2. StockSun「1分のショート動画制作の相場」— 編集、企画、撮影等の料金例。
  3. XDesigner「ショート動画制作の費用相場を解説」— 制作会社・フリーランス別の価格例。
  4. e-Gov法令検索「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第192条・第201条(2026年10月26日現行条文を確認)。
  5. 厚生労働省「就労支援事業会計の運用ガイドライン」— A型・B型の就労支援事業会計の整理。
  6. YouTubeヘルプ「YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格」— 収益化要件と審査。

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