この記事の結論

B型事業所で動画編集を導入するなら、まず職員が説明・検品できる短い工程を試し、必要な機材と費用を確認してから受注範囲を広げます。高性能パソコンをそろえるだけでは運用は成立しません。本人が取り組みたい作業、職員の支援体制、納品品質、受注先の見込みを一緒に確かめることが大切です。

この記事の目次
  1. 導入前に確認する5つの条件
  2. 必要機材は「使うソフトと素材」から選ぶ
  3. Premiereを使う場合の公式要件
  4. 周辺機材と保存環境
  5. 一般的な編集ソフトの選び方
  6. 職員体制は「教える・検品する・窓口になる」を分ける
  7. 動画編集を分担する工程と検品基準
  8. 小さく試してから受注する5つの手順
  9. 試作記録の具体記入例
  10. 受注前の確認チェックリスト
  11. 費用は「設備」「継続費」「職員工数」を分けて比較する
  12. 自力導入・外部支援・外注の違い
  13. 売上・工賃・職員負担を混同しない
  14. 導入支援を選ぶときに聞くこと
  15. よくある質問
  16. 無料ソフトだけで始められますか?
  17. 動画編集が未経験の利用者も参加できますか?
  18. 案件がなくても導入できますか?
  19. YouTubeに投稿すれば収益になりますか?
  20. 出典

B型事業所で動画編集を導入するなら、まず職員が説明・検品できる短い工程を試し、必要な機材と費用を確認してから受注範囲を広げます。高性能パソコンをそろえるだけでは運用は成立しません。本人が取り組みたい作業、職員の支援体制、納品品質、受注先の見込みを一緒に確かめることが大切です。

このガイドは、就労継続支援B型事業所の経営者・管理者・職員向けです。設備やソフトの選び方から、工程分担、試作、費用比較、外部支援の確認事項までを整理します。動画編集の導入による受注や工賃向上を保証するものではありません。

導入前に確認する5つの条件

動画一本を一人で完成させる前提にせず、素材整理や字幕確認など、本人の希望や操作の習熟度に応じて担当範囲を分けます。動画編集以外も比較したい場合は、B型事業所のパソコン作業例から検討できます。

条件 導入前に決めること 整わない場合の対応
本人の希望・配慮 希望する工程、画面の見やすさ、休憩・中断の方法 別の工程や作業を選び、一律に参加を求めない
支援体制 操作を説明する担当と、不在時の引き継ぎ先 職員の研修を先に行う
検品体制 誤字、音、映像、納品形式を確認する人 職員が検品できる工程だけを試す
設備・データ管理 対応ソフト、保存先、バックアップ、アクセス権限 手元の環境で権利確認済み素材を試す
作業の目的・受注先 練習、自所の広報、受託制作のどれか 未受注の制作を売上見込みに入れない

自所のYouTube運営と企業からの受託制作は、目的も収入の条件も異なります。最初は「職員が字幕工程を教えられるようにする」など、試行の目的を一つに絞ると評価しやすくなります。

必要機材は「使うソフトと素材」から選ぶ

パソコンの必要性能は、編集ソフト、素材の解像度、動画の長さ、重ねる映像や効果によって変わります。**最低動作要件を満たすことと、納期内に快適に作業できることは別です。**購入前に、扱う予定の素材で読み込み・再生・編集・書き出しを試してください。

Premiereを使う場合の公式要件

2026年11月5日に確認したAdobe公式ページは、Premiereバージョン26.0を対象としています。以下はWindowsのIntel/AMD環境の抜粋で、Windows on ArmやMacにはそのまま適用できません。3

項目 公式の最低要件:HD編集用 公式の推奨条件
OS Windows 11 v24H2 Windows 11 v24H2
CPU Intel第6世代以降、またはAMD Ryzen 1000シリーズ以降。AVX2対応必須 Quick Sync搭載Intel第11世代以降、またはAMD Ryzen 3000/Threadripper 3000シリーズ以降
メモリ 8GB RAM HD素材は16GB、4K以上は32GB以上
GPU GPUメモリ4GB以上。NVIDIAはMaxwell世代以降などの条件あり GPUメモリ8GB
保存環境 インストール用空き容量8GB。導入時の追加空き容量と、メディア用の追加高速ドライブも必要 アプリ・キャッシュ用の内蔵高速SSDと、メディア用の追加高速ドライブ
画面 1920×1080ピクセル 1920×1080ピクセル以上。HDR制作には別条件あり

8GBの空き容量は動画素材を含む総容量ではありません。元素材、編集中のデータ、書き出しファイル、バックアップの保存場所を別に見積もります。

Macでは、同じ公式ページがmacOS Sonoma 14以降、推奨プロセッサーとしてAppleシリコンM1 Pro/M1 Max/M1 Ultra以降、Appleシリコンの推奨統合メモリ16GBを示しています。Windowsの推奨値を流用せず、購入候補の機種とOSに対応する欄を照合してください。仕様は更新されるため、発注時にも公式要件を確認します。3

周辺機材と保存環境

準備するもの 用途 購入・設定前の確認
マウス・キーボード・画面 編集操作、字幕入力、見本との照合 文字サイズや操作方法を本人に合わせられるか
ヘッドホンなど 声、BGM、音切れの確認 感覚面の負担に配慮し、職員が音を確認できるか
作業用ストレージ 元素材・編集データ・完成動画の保存 空き容量、読み書き速度、フォルダー構成
バックアップ先 誤削除や機器故障への備え 作業用と別の保存先、復元手順、削除期限
インターネット・共有環境 認証、更新、素材の受け渡し 送受信容量、利用権限、発注者の情報管理条件

撮影を受けない編集のみの試行なら、カメラや照明を先に買う必要はありません。クラウド保存や文字起こし機能を使う場合は、素材を外部サービスへ送ってよいかも発注者に確認します。

一般的な編集ソフトの選び方

使うソフトは知名度だけでなく、職員が教えられること、納品条件に合うこと、事業所がアカウントを管理できることから選びます。以下は選択の目安で、シゴトプラスの指定ソフトや契約に含まれるソフトを示すものではありません。

ソフト 検討しやすい用途 費用・運用で確認すること
Adobe Premiere 編集プロジェクトの形式指定がある受託制作など 使用する版の公式要件、利用人数に合う契約、認証・更新の管理。Adobe IDと使用許諾契約への同意が必要 3
DaVinci Resolve カット・字幕から色や音の調整まで、一つのソフトで試したい場合 無償版と有料Studio版の機能差、扱う素材形式、導入する版の動作要件を確認 5
Microsoft Clipchamp 短い動画を使った基本操作の試行や、自所の広報動画など 個人用と職場・学校用の違い、契約ライセンス、共有・保存先を確認 4 6

Blackmagic Designの公式案内では、DaVinci Resolveの無償版は60fpsまでのほぼすべての8-bit形式と、Ultra HD 3840×2160までの解像度に対応するとされています。「無料だから、どの素材も扱える」とは判断せず、実際のファイルを読み込めるか、必要な機能がStudio版に限られないかを試します。機材は、ダウンロードする版の公式リリースノートで要件を照合してから選びます。5

Clipchampの公式推奨メモリは8GB以上で、16GB以上が望ましいとされています。対応するデスクトップ版EdgeまたはChromeなどを使用し、素材や編集の複雑さによる負荷も確認します。職場・学校用では対象ライセンスの割り当てと利用の有効化が必要です。職場用のプロジェクトはOneDrive/SharePointに保存され、同じ動画を複数人で同時編集することはできないと案内されています。4 6

ソフト本体、付属素材、追加フォント、外部テンプレートの利用条件は分けて確認してください。個人向け無料プランや教育向け条件が、そのまま法人の受託制作に適用できるとは限りません。

職員体制は「教える・検品する・窓口になる」を分ける

動画編集のための一律の必要人数や、職員の標準作業時間は示せません。通常の支援業務と両立できる範囲を、試作で測定して決めます。以下は制作運用上の役割であり、制度上の人員配置基準を置き換えるものではありません。

役割 主な責任 不在時に残すもの
支援担当 操作説明、本人に合う工程の調整、質問の記録 手順書、作業途中の位置、次の指示
制作・検品担当 見本作成、修正、仕様との照合、書き出し確認 チェック表、修正履歴、承認状況
発注者窓口 見積、納期、仕様変更、素材許諾、納品連絡 合意事項、連絡履歴、期限

一人が複数の役割を兼ねる場合でも、編集した本人の自己確認だけで納品せず、別の人が完成動画を確認する機会を設けます。職員が自分で操作できても、利用者に伝える手順や修正理由を説明できるとは限りません。研修内容の検討には、動画編集の職員研修で準備することを参照してください。

動画編集を分担する工程と検品基準

最初は、支給された原稿を入力する、指定した場所だけをカットするなど、判断範囲が明確な作業から試します。下表は工程設計の例で、実案件や導入実績ではありません。

工程 利用者が担当する作業の例 職員が準備・支援すること 検品基準の例
素材整理 指定フォルダーへ分類、一覧へ記入 元素材を保護し、分類見本を用意 不足・重複・誤った名前がない
カット 指定区間の不要部分を削除 開始・終了位置と見本を指定 必要な発言が欠けず、音が途切れない
テロップ 支給原稿を入力、誤字を修正 表記・サイズ・配置の見本を用意 原稿との一致、表示時間、画面内の収まり
画像・BGM配置 許諾済み素材を指定位置へ配置 使用できる素材と位置を限定 指定素材であること、声の聞き取りやすさ
完成動画の確認 再生し、気づいた箇所を記録 確認範囲とチェック項目を提示 黒画面、誤字、音切れなどを職員も確認
納品準備 指定名で保存、ファイル一覧を確認 書き出し設定と受け渡し方法を管理 形式・解像度・ファイル名・共有権限が一致

工程ごとの作業内容と支援方法は、動画制作の作業例でも確認できます。工程を分けても、最終品質や発注者への納品責任がなくなるわけではありません。

小さく試してから受注する5つの手順

  1. 目的と範囲を決める。 練習、自所の広報、受託制作を区別し、本人の希望や個別支援計画との整合を確認します。
  2. 権利確認済みの素材と見本を用意する。 課題の完成形、保存先、ファイル名、質問方法を決めます。「ネットで公開されている素材」だけでは利用許諾の確認になりません。
  3. 職員が先に一通り操作する。 素材の読み込みから書き出しまで試し、説明できない箇所や動作の遅い箇所を洗い出します。
  4. 利用者と一工程ずつ試す。 作業時間、休憩、中断、質問、職員の説明・修正時間、手戻りを記録します。必要なら工程を変えます。
  5. 継続・見直し・受注保留を決める。 品質が安定し、職員が無理なく検品でき、発注条件を満たせる範囲だけを受けます。

試作記録の具体記入例

以下は研修用の仮の記入例です。受注実績、標準作業時間、売上モデルではありません。

記録項目 記入例
目的・課題 職員が字幕入力の手順を教えられるか確認。1分の練習動画を使用
素材・条件 自所で用意した映像。字幕原稿と見本あり。外部公開なし
担当範囲 利用者:字幕入力/支援担当:操作説明/検品担当:原稿と再生確認
時間の記録 利用者の実作業・休憩・中断、職員の説明・修正・検品を別々に計測して記入
気づいた点 長い字幕が枠から出る。保存先の選択で質問あり
次回の変更 長文の改行見本を追加し、保存先を手順書に表示
受注判断 次回の試作で改善を確認するまで受注保留。練習課題の売上は計上しない

短い試作でも、完成本数だけでは判断できません。操作を覚えても検品に手戻りが多い場合は、原稿や見本を改善するか、受ける仕様を狭めます。試行計画を詳しく組む場合は、動画制作を小規模に試す進め方も参考になります。

受注前の確認チェックリスト

  • 納品する動画の尺、縦横、解像度、形式、編集データの提出有無を合意した
  • 納期、確認担当、修正範囲・回数、追加修正の扱いを合意した
  • 素材の不足時や仕様変更時の連絡方法を決めた
  • 映像・画像・音楽・フォントの利用範囲と証拠を確認した
  • 顔・氏名・個人情報の扱い、公開先、必要な同意を確認した
  • 外部サービスへのアップロード可否、保存・削除期限を確認した
  • 担当者不在や中断時の引き継ぎと、納品前検品の時間を確保した

YouTubeは、著作権で保護された素材には通常、事前の使用許可が必要で、YouTube自体はその権利を付与できないと案内しています。音楽の権利者の方針によって公開が制限されたり、後から状態が変わったりすることもあります。7 他人の撮影や個人情報の投稿には、事前に許可を得るよう案内されています。8 個別の権利・同意・情報管理は、事業所の規程や必要に応じた専門家への確認も行ってください。

費用は「設備」「継続費」「職員工数」を分けて比較する

導入総額は、手元の機材、ソフトの契約、外部支援の範囲で変わります。一律の必要金額ではなく、同じ制作範囲・利用人数・比較期間で見積もります。

費用項目 比較する内容 自所の見積欄に記入すること
初期設備 パソコン、画面、周辺機材、保存環境 再利用するもの/購入するもの、台数、税込・税別
ソフト・素材 ライセンス、追加機能、素材の利用料 利用人数、契約期間、更新・解約条件
継続管理 保存容量、バックアップ、保守 月額・年額、容量追加、故障時の対応
研修・制作支援 操作研修、質問、添削、検品支援 対象者、回数・時間、対応範囲、追加費用
案件ごとの費用 外注、素材購入、受け渡しなど 案件ごとの実費と追加修正の扱い
職員の時間 説明、修正、検品、発注者対応 試作で実測した時間と通常支援への影響

自力導入・外部支援・外注の違い

方法 比較する費用 判断のポイント
自力で学び導入 設備・ソフトと職員の学習・手順作成時間 困ったときに説明できる人がいるか
研修・制作支援を利用 上記に加え、支援契約の費用 事業所内に教える・検品する力が残るか
制作を外注 外注費と発注・確認の時間 利用者の作業機会がどの工程に残るか

外部支援の月額だけを比較しても、全代行と職員研修では内容が異なります。発注者を探す活動や、案件がない期間の費用も含めて検討してください。シゴトプラスの支援契約の金額・期間・追加費用は、料金・導入条件を確認し、個別提案で確かめます。

売上・工賃・職員負担を混同しない

B型の指定基準では、生産活動に係る収入から必要経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うことが定められています。受注売上をそのまま工賃や法人の利益と扱うことはできません。A型の雇用契約に基づく賃金と、B型の工賃も分けて考えます。2

厚労省の会計ガイドラインは、福祉事業活動と生産活動の会計区分、職員人件費の区分や合理的な按分を説明しています。**採算判断のために職員時間を記録しても、その全額を工賃算定上の経費へ自動的に入れないでください。**設備購入の支出額と会計上の費用も区別し、適用する会計基準や費用の区分は法人の会計担当者・指定権者等へ確認します。1

受注単価を検討する際は、動画編集の料金・見積の考え方を参照し、自所の作業範囲、修正条件、経費で試算します。

導入支援を選ぶときに聞くこと

「動画編集を支援する」という説明だけでは、何を任せられるか分かりません。案件紹介は発注者との接点をつくること、営業支援は受注活動を助けること、制作支援は制作・修正・納品の進め方を支えることです。研修や制作支援を契約しても、案件が提供されるとは限りません。無料の共同受注窓口も、有料の導入支援とは利用条件や役割が異なります。

確認事項 相談時の質問例
研修対象 「職員が操作を覚えるだけでなく、利用者への教え方も相談できますか」
制作の分担 「事業所で行う工程と、支援会社が行う工程はどこですか」
質問・添削 「対象範囲、受付方法、対応条件、追加費用を教えてください」
検品・納品 「最終品質の確認と、発注者への納品責任は誰が担いますか」
受注活動 「案件紹介の有無、発注者を探す担当、案件がない月の支援と費用はどうなりますか」
契約・機材 「必要機材、契約期間、解約、更新、データの扱いを書面で確認できますか」

シゴトプラスは、株式会社RIGELUSが運営する法人の事業活動向けの有料支援です。職員研修、事業所主体の制作、工程分担、質問・添削、検品・納品の進め方、自社YouTube運営を支援します。制作をすべて任せる全代行ではありません。案件紹介の有無や提供条件、最低案件数をこの記事で確約するものでもありません。

導入可否を相談する際は、「現在のPCとソフト」「職員が担当できる工程」「利用者が希望する作業」「練習・広報・受託のどれを目指すか」を整理すると話が進めやすくなります。作業例と条件を確認したうえで、法人向け導入相談をご利用ください。問い合わせやLINEの友だち追加だけで、予約・契約が成立するわけではありません。

よくある質問

無料ソフトだけで始められますか?

必要な素材形式や書き出し条件に対応するなら、試行に使える場合があります。ただし、ソフトが無償でも機材、保存環境、職員の学習・検品の負担は残ります。素材・フォント等の利用条件も別に確認してください。

動画編集が未経験の利用者も参加できますか?

経験だけで判断せず、本人の希望と必要な配慮に合わせて一工程ずつ試します。字幕確認、素材整理など、編集ソフトの高度な操作を伴わない工程もあります。誰でも同じ速度・品質でできるとは考えないでください。

案件がなくても導入できますか?

練習課題や自所の広報制作で試すことはできます。ただし、その制作を受託売上と混同しないようにします。受注を目的とするなら、見込み発注者の仕様と費用を確認してから設備を増やしてください。

YouTubeに投稿すれば収益になりますか?

投稿だけで収益になる前提にはできません。収益化を目指す場合は、その時点のYouTube公式条件と権利処理を別途確認します。未確定の広告収入を、確実な売上や工賃原資として扱わないでください。

出典

機材・ソフトの公式情報は2026年11月5日に本文を確認しています。購入・契約時は対象バージョンと最新条件を再確認してください。

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